目覚め

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いつもここにスマホを入れいてるから、癖でつい触ってしまうのだ。 でも、そこにスマホの感触はなかった。 「私、スマホを持ってきてないみたい」 「私も、さっき探したけどなかった」 珠美がすぐに同意する。 他のふたりも制服のポケットを確認しているけれど、その中からはチリ一つとして出てこなかった。 「おかしいな、ハンカチもないなんて」 豊が首を傾げている。 ハンカチはポケットに入れっぱなしにでもしていたのだろう。 「迎えが呼べねぇな」 一浩がチッと小さく舌打ちをする。 教室内は電気がついていて明るいけれど、外は真っ暗だ。 時計の針を確認すると午前3時だとわかった。 夜が明けるまでにはまだまだ時間がありそうだ。 真っ暗な中家に帰ることを思うと、憂鬱な気持ちになる。 「夜明けまで待って帰る方が安全かもしれないね」 奈穂が珠美へ向けて声をかける。
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