目覚め

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普段の学校生活からしてそういう態度だから驚きはしないけれど、こんなときくらい協力してもいいのにと思ってしまう。 そんな不満が顔に出ないように奈穂は豊へ笑みを向けた。 「ありがとう。お願いできる?」 「もちろん。珠美も行こう」 豊に声をかけられた珠美がようやく近づいてきた。 そして4人で教室を出ようとした、そのときだった。 奈穂がドアを開けようとしてもそれはびくとも動かなかったのだ。 「あれ? ドアが開かない」 「カギがかかってるんじゃないか?」 豊に言われてカギを確認してみるけれど、それは確かに開いていた。 「カギは空いてる。でもドアが動かないよ」 向こう側からつっかえ棒でもされているんだろうか。 「それなら窓から出ればいい」 一浩が廊下側の窓に手を伸ばす。 その窓はクレセント錠で、反転させて解錠させるタイプのものがつけられている。
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