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「カンニング?」
一浩は豊の言葉にすぐに反応を見せた。
まるで苦くてまずいものを口の中に入れたときみたいな顔をしている。
「あぁ。どう思う?」
「どうって……」
一浩は教室にいる千秋へ視線を向けた。
千秋は友人らとの会話に夢中で、豊と一浩のふたりがこんな会話をしているとは思っていないみたいだ。
「カンニングして、ずっといい点数を維持してたらしい」
豊はまた言葉を続ける。
でもこれは嘘だった。
千秋のことが怖くてついた嘘。
「最低だな
」
一浩がぼそりと呟く。
その目は千秋を睨みつけていた。
「そういうの、最低だろ。俺みたいに一生懸命勉強してもいい点数が取れねぇやつだって沢山いるのに」
一浩の反応は想像通りのものだった。
それからだ。
一浩が千秋をイジメはじめたのは。
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