20人が本棚に入れています
本棚に追加
今度は4時過ぎからほとんど進まなくなっている。
「もう、やることはわかってるよね?」
突っ伏している珠美に声をかけると珠美はビクリと体を震わせた。
そしてなにも聞きたくないという様子で両耳を塞ぐ。
「珠美、豊の話を聞いてる間中ずっと落ち着きがなかったよね?」
その問いかけに珠美が小さく息を飲む音が聞こえてきた。
必死でバレないように顔を隠しているけれど、その反応ですべてバレバレだ。
豊が話をしようとしたときにも珠美は動揺を見せていた。
だからきっと、豊の話の中に珠美が出てくるのだろうと奈穂は思っていたのだ。
けれど豊の話を聞き終えた今、それが間違いだったとわかった。
豊の話の中に珠美は出てこなかった。
わざと出場させなかったのかもしれない。
ここから先は珠美に聞けばわかると、豊が言っているような気がする。
「珠美、なにがあったのか話してくれる?」
最初のコメントを投稿しよう!