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珠美は自分の両手の指を握りしめて質問する。
さっきから居心地が悪くて仕方ない。
奈穂はもう家に帰ってしまっただろうか。
「あ、あのさ俺……」
豊が大きく息を吸い込む。
そして吐き出すと同時に「珠美のことが好きなんだ!」と、叫ぶように告白したのだ。
え……?
驚きすぎて珠美の思考回路は停止する。
頭の中は真っ白になって、なにも考えられ
なくなった。
目の前に立つ豊の顔は耳まで真っ赤にそまって、嘘をついているようには見えなかった。
「私のことが……?」
珠美は自分を指差して質問していた。
豊は何度も頷く。
「嘘、そんなことあるはずないじゃん」
自然と珠美の口からはそんな言葉が漏れて、自嘲気味に笑っていた。
「だって、今まで誰からも告白なんてされた経験ないよ? 顔もスタイルもよくないし、気に入られる要素なんてないじゃん? あ、もしかしてドッキリで、誰か見てたりする?」
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