珠美の告白

11/21
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/141ページ
豊が言う通り、周囲に誰かが潜んでいるような気配はなかった。 そこでようやく豊の告白が本物なのだと理解した。 理解した瞬間心臓がドクドクと早鐘を打ち始めて、喉がカラカラに乾いてくる。 「なんで、私なの?」 自分が男なら、きっと隣りにいた奈穂に声をかける。 奈穂はクラスで1番と言えるくらいの美人だ。 自分ではその自覚がないようでだけれど、クラスの男子の半分くらいが奈穂に憧れていることを知っている。 「なんでって……なんか、すごく可愛いと思ったから」 また可愛いと言われて、珠美の頬が赤く染まる。 異性にここまで外見を褒められるなんて、きっとこれから先もないことだと感じた。 戸惑いの後に嬉しさがこみ上げてくる。 昔から自分に自信がなかったけれど、こんな自分を好きになってくれる人もいるんだとわかった。 「だから、付き合ってほしくて」
/141ページ

最初のコメントを投稿しよう!