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「私は昔から好きになっても成就してこなかった。好きになった人には必ず別に好きな人がいた。その相手は決まって奈穂みたいに見た目のいい人気者で……」
「そ、そんなのただの偶然じゃない?」
キッと鋭い視線が飛んでくる。
「偶然? 本当にそう思う?」
奈穂は答えられない。
それほど恋愛の興味のない奈穂には、恋人ができない、思いが通じない辛さがわからない。
そんなことを言えばきっと珠美は逆上してしまうだろう。
モテているから言えることだと責められるかもしれない。
だから、言えない。
「私は私のことを一番よく理解してる。私はブスでスタイルも悪くて、だから選ばれないの!」
「珠美……!」
否定したいけれどできなかった。
珠美になにを言われるかわからなくて、怖くて。
「そんな私のことを豊を好きだって言ってくれた。少しくらい試してみたっていいじゃない!?」
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