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「嫌、嫌だってば!」
机の下から出てきた珠美が泣きじゃくって暴れる。
机にぶつかってあちこちになぎ倒しながらナイフを手から離そうと必死だ。
それでもナイフは珠美の右手から離れることはなかった。
「珠美……」
奈穂はどうにか珠美を落ち着かせたいが、ナイフを持って暴れているので近づくこともできない。
「どうして私が悪いの? イジメてたのは一浩じゃんそのキッカケを作って嘘をついたのは豊じゃん! 悪いのは私じゃない!」
悲痛な叫び声を上げた次の瞬間、珠美は自分の首にナイフを刺していた。
その場で動きを止めて棒立ちになる。
目だけが奈穂を見ていた。
「奈……穂」
枯れた声で珠美が呼ぶ。
奈穂は今すぐ視線を外してしまいたいのをどうにか堪えて、珠美へ近づいた。
珠美の体は指先がすでに灰に代わって消えていた。
「次は……奈穂の……番」
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