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最後の1人
奈穂はその場に座り込んで動くことができなかった。
ひらりひらりと、珠美の残骸となった灰が目の前にゆらめいている。
それはゆっくりと床に落ちて、動くのを止めた。
ついに残り1人になってしまった。
どうして自分がここにいるのか、考えていたけれどずっとわからなかった。
「……私はなにもしてない」
声に出してみるとどこか違和感があった。
一浩も豊も珠美も、なにかしらの形で千秋のイジメに加担していた。
本人にその気がなくてもだ。
それならきっと、自分も同類なんだろう。
千秋から見れば奈穂だって他の3人と同じだった。
だから今、ここにいるんだ。
とても静かな教室内にカッカッと音が聞こえてきて奈穂は黒板へと視線を向けた。
『中武珠美は外へ出た』
いつもならその報告の後チョークは落下する。
だけど今回はまだ空中に浮いたままだった。
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