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四人部屋を取っていたので、二人で使うにはあまりにも広かった。
「おお、贅沢!」
一颯は、そう言ってセミダブルのベッドに思いきりダイブする。
疲れたあ、と言いながらゴロゴロしていると、陸がリュックを下ろしてベッドの脇に腰掛けた。
「はしゃいでるな、一颯」と笑っている。
「どうせ俺はガキだよ」と憎まれ口を言うと、いきなり陸が上にのしかかって来た。
「スキがありすぎなんだよ、一颯は。だから水野さんにも……」
「え……」
どこまで聞いているのだろうか?
「キス、されそうになったんだろ?」
真上から睨まれてドキリとする。
そうか、キスはしてないことになってんだな、と一颯は少しホッとした。
「まあ、手繋いだり、ハグしたりするだけでも腹立つけど」
そう言って陸は、一颯に覆いかぶさり、唇を重ねてきた。
「ん……んっ……」
久しぶりに陸の唇と匂いに包まれ、溺れてしまいそうだ。
「り、く…」
唇が離れた隙に、陸の頬を包んだ。
「好きだ、陸……」
「俺も……。大好きだよ、一颯。ずっとこうしたかった」
陸は、そう言うとまた深く唇を重ねてきた。
陸の気持ちが嬉しくて苦しくて、もうどうなってもいいと思う。
こんなに好きにさせやがって、と憎いくらいだった。
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