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「相澤陸(アイザワリク)くんだ。皆、仲良くするように」 担任に紹介され、陸は「よろしくお願いします」と言ってぺこりと頭を下げた。主に女子達から拍手が起こる。 「あー、席は……青山の隣あいてるな。とりあえずそこで。青山、教科書見せてやって。急だったから間に合ってなくてな」 「はい、分かりました」 担任に指示され、陸は一颯の隣に歩いて来てぺこりと頭を下げた。 「どーも」 一颯も頭を下げ、陸は隣の席に着いた。 ホームルームを終え、担任が出て行った途端、女子達がスマホを片手に二人に近づいてきた。 「最強のツーショットなんだけど!撮ってもいい?」 「イケメン二人組の破壊力すごっ!」 「このクラスで良かったあ!」 勝手に二人組にされて、周りを囲まれてしまった。 「おい、ちょっと勝手に撮んなって。悪いな、相澤」 一颯が庇うと「別にいいんじゃない」と陸は薄く笑った。 「え、いいのか?」 「うん、別に」 そう言うといきなり陸は椅子を一颯に近づけ、肩を抱いてきた。 「これでいいか?」 「え、ちょっ……」 一颯は、嬉しさを隠しきれず、口元の緩んだおかしな顔になってしまった。 しばし、きゃあきゃあ騒ぐ女子達に囲まれ撮影会が始まる。その間、肩に置かれた陸の手を感じ、一颯は心臓がバクバクしてしまった。
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