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「うぉー!着いたぜ!俺、初めてだよ、大阪!」
新大阪駅に降り立った途端、綉が雄叫びを上げる。
結局、みんなで行ったほうが楽しいから、と綉と竹内に説得され、陸も卒業旅行に参加することになった。
あの後、実際、借金はどうなっているのかと聞くと、ホストで結構稼げたので、借金は、もう半分以上返したと言われた。
「ホントは、ホストなんか面倒だから嫌なんだけどさ、あと半年くらいやったら借金返せそうだから」
と言って陸はニッと笑った。
さすがだな、と一颯は感心する。
みんなで旅費割ろうか、と言ったけれど、「お前らより稼いでる」と言われて、苦笑してしまった。
「しかし、陸と一颯がいれぱ、ナンパなんかしなくても女の方から寄ってくるんじゃね?」
竹内が少し離れた場所から二人を見て言った。
「確かに!」
綉も一緒になって、離れた場所から二人の写真を撮っている。
「なんなんだよ、お前ら」
四人でふざけていると、高校生に戻ったようだった。
ホテルに荷物を預け、USJに向かう。
アトラクションを楽しんだり、並んでファストフードを食べていると「一緒に写真撮りませんか?」と何度か女の子達から声を掛けられた。
「もちろん!いいよ!」と横から綉と竹内が口を挟んでくる。
「いや、あのこっちの二人と……」
「分かってる!分かってる!けどほらみんなのほうが楽しいだろ?」
と綉が言い、竹内も「そうそう!可愛いね!二人とも!」と調子を合わせた。
結局、ほぼ話さないイケメンより、お喋りの上手い綉達のほうが楽しかったようで、帰る頃には、二人とも可愛い女の子達と上手くカップルになっていた。
「俺達、四人でメシ行くから。悪いけど、その後もホテルには帰らないぜ」
女の子達がトイレに行っている間に、綉に言われた。
「上手くやれよ」と耳元で言われドキリとする。
「何言ってんだよ」と言いながら、一颯は身体中が、かぁ……と熱くなっていた。
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