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「大丈夫か?」
目をあけると陸が優しく髪を撫でてくれていた。
しばらく気を失っていたみたいだ。陸の方に身体を向けようとして、下半身に鈍痛を感じる。
「痛っ……」
腰から尻をさすると「悪かったな、無理に挿れて」と陸がニヤニヤしながら言ってきた。
「悪いと思ってねえだろ」 一颯は、そう言って陸の頬を抓る。
「うん、思ってない。やっと俺だけの一颯になったって、最高の気分だった」
「バーカ、このドS野郎」
そんなことしなくても、もうずっと前から、陸だけに心も身体も囚われている。
ひとつになれた幸せな気持ちで、一颯がキスをすると、頬を包まれて更に深いキスをされた。
どんどん舌を絡ませられ、また挿れられたら堪らない、と腕を突っぱねた。
陸は「おい、逃げんな」と面白がって、羽交い締めにしてきた。
「わあ、もう無理だって」
泣きそうになって言うと、陸は心から面白そうにハハハ……と笑いだした。
「風呂、入るか。綺麗に洗ってやるよ」
「いや、いいって自分で」
と言っているうちに、身体を抱えられた。
下半身に力が入らないので、陸の言うなりになってしまう。
風呂場に行くといつの間にか熱い湯が張られていて、陸は、一颯を抱えたままそっと湯船の中に入った。
「「はあー、気持ちいいー!」」
二人して同時に言い、笑いあった。
幸せは、きっとこんなカタチをしている。陸に抱かれて湯船に浸かりながら、一颯はそんなことを考えていた。
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