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「まあ、そういう事もあるって」
綉が肩を抱いて慰めてきた。久しぶりに本気で走った為に、足がもつれて転んでしまった。
女子達からは気の毒そうに見られ、男子達からは、調子に乗ってるからだ、とバカにされてしまった。
こんな屈辱的な気持ちは生まれて初めてだ。
なんでこんな事になったんだ、と要因である陸を睨むとさっきと同じように、ニヤニヤしながらこっちをみている。
「青山くん、怪我してない?保健室行く?」
真面目な女子が優しく声を掛けてくれた。
「大丈夫だよ、ありがとう」
せめてカッコつけようと笑いかけていると「俺が連れてくよ、保健室」と
ニヤついていた陸がその女子を制して前に出てきた。
「や、大丈夫だって!」
一颯が断るのを無視して、陸はいきなり一颯を抱きかかえた。
陸は鍛えているのか、かなり力があり、一颯が身長の割に華奢なのもあって、ヒョイと持ち上げられてしまった。
「うわあ!やめろ!離せ!」
「煩い。怪我人は黙ってろ」
実際、ジャージの下の脚はジンジンと痛い。
周りが呆然とする中、仕方なく陸にお姫様抱っこをされて保健室に向かった。
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