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(あれ?しないのか?) 少し期待していた一颯は、そおっと目を開けた。 「お前、マジ面白い」 目が合うと陸はプッと噴き出して笑いだした。 「な…っ!」 からかわれたことが分かり、一颯は、身体中が熱くなる。 「ふざけんな!」 怒って保健室から出て行こうとすると、また腕を掴まれた。 「待てって」 「離せよ!もう、マジで腹立つ!」 そう言って睨む。 「いや、マジごめん!ごめんって」と陸は楽しそうに笑っている。 その顔を見ている内になんだか一颯もバカバカしくなって、一緒に笑い出してしまった。 「青山って見た目より気取ってないんだな」 「相澤こそ」 「俺は……」 そう言って陸は少し黙り込む。 何か言いたげな陸を暫く待っていると、昼休みを告げるチャイムが鳴った。 「そういや腹減ったな」 一颯が言うと「そうだな」と陸も同意する。 二人で保健室を出て、教室に向かった。 心の距離が少し近づいた気がした。
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