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「愛花ちゃん、あたしやっぱり諦める。」
「え?」
「お兄ちゃん、あたしが成人になるまで待って欲しいって言ったんでしょ?つまり、それは結婚するって事だよね」
「……。」
「なんだ、あたし完全に失恋だね。本当に、馬鹿みたい。少しでも期待していたのに」
泣かないって決めているのに、あたしの頬は濡れていく。
それに気づいた愛花ちゃんは、慌てて鞄からハンカチを取り出した。
「貴史お兄ちゃんは、本物の馬鹿だよ。あたしだったら三河さんより、あゆお姉ちゃんを絶対に選ぶもん」
あたしに見えるように腕を高くさせて、ハンカチを渡した。
「やっぱり、あたしは海原さんを応援する!! 貴史お兄ちゃんなんか知らないもん、あゆお姉ちゃんを泣かすなんて」
愛花ちゃんは、ぷんぷんと怒っていて鼻息も荒くさせていた。
その姿を見たあたしは、ぶーっと噴き出して大笑いをした。
「あゆお姉ちゃん?」
あたしの大笑いを見て、ポカーンと口を開けている。
「ありがと、愛花ちゃん。笑ったら、すっきりしちゃった」
へらりと笑って、濡れた頬をハンカチで拭った。
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