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「………貴史が、どう思っているかわからないけど」
頬杖をついていた腕を降ろして、真剣に見る海原さんに、戸惑うような瞳であたしは尋ねてみる。
「海原さん?」
「あゆちゃんって、新しい…『♪~~~~♪♪~~~~♪』」
海原さんが口を開いたと同時に、携帯の着信音が鳴り響いた。
「タイミング悪」
苦笑いをする海原さんは上着のジャケットから携帯を取り出して、何処かへ歩いていく。
携帯を耳に当てて何やら難しい話をしている。
どうやら、病院からの電話らしい。
微かに聞こえてくるのは、医療用語で何がなんだかわからない。
暫くの間、海原さんは電話に捕まっていて軽く溜め息をついた。
…………お兄ちゃんから電話あるのかな。
淡い期待を胸に抱きつつ鞄を開けて携帯を取り出した。
“不在着信 1件 伝言メッセージが入っています。”
え?
携帯の画面を見つめたまま、暫くの間固まってしまう。
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