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「?」
「でも、その性格だと三河さんには勝てないな。君なら、どう思うかね?和文君」
「何がですか?」
いきなり話題をふられて、困ったような顔をする海原さんは軽く首を傾けている。
「三河さんの性格なら、仕事仲間としては知っているよね」
「ある程度なら…。」
言葉を濁した海原さんに、一哉叔父さんは黒い笑みを浮かべている。
「ある程度じゃないだろ。ま、いいけども」
机に置いてあった灰皿を取って、落ちそうになる灰を素早く捨てた。
「三河さんは有名だよね。…………自分の欲しいものは必ず手に入れる事。それが、恋人がいようとも。だよ」
「……。」
海原さんは何故か黙ってしまい、一哉叔父さんは豪快に笑いだした。
「アハハハハハッ!!!!!!」
一哉叔父さんの笑い声が奥まで聞こえたのか、慌てたように誠さんが走ってくる。
「さっきから、誰か来ているなとは思ってはいたんだけども。まさか、一哉さんが来るなんてビックリだよ!!」
「忙しい時に、いきなりお邪魔してしまって」
煙草を揉み消すように押し潰して、灰皿の中へ捨てると、申し訳なさそうにペコペコと頭を下げていた。
「愛花の顔を見に来たんだよな。今日は、あの娘は家にいるんだよ。体調が思わしくなくて」
「いや、いいって!愛花ちゃんは体が弱いから仕方ないんだよ。それに毎日、お店に連れてくる訳にもいかないだろ?………学校があるんだから」
わざと“学校”の部分を強調する一哉叔父さんに、誠さんは困ったような顔をしてあたしを見る。
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