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「あゆちゃん、冷蔵庫にオレンジジュースが入っているから飲んでいいよ?」
「え!そんな」
思いっきり首を振って丁寧に断るあたしに、誠さんは小さく耳打ちをしてきた。
「遠慮しないでいいよ。それに今は気まずいだろ」
目を大きく見開いて見つめるあたしに、誠さんは軽くウインクをした。
「和文君も、そろそろ病院に戻らないといけないんじゃないのかな」
誠さんは壁に掛けられている時計に視線を向けて、海原さんへ声をかける。
「え?あぁ…、そうですね。でも…」
言葉を濁した海原さんに、一哉叔父さんは意味深に笑っている。
「誠さん。俺も行きますよ?」
「そ、そうか?」
一哉叔父さんの言葉を聞いた誠さんは、安堵の溜め息をついている。
「愛花ちゃんならまた今度でもいいだろうし。それに、あゆちゃんだって」
一哉叔父さんは、ふっと黒い笑みを浮かべて。
「俺達がいない方が楽だよね」
軽く嫌みを口にだしてにっこりと笑った。
「あ、あゆちゃんは暫くの間愛花と暮らすかい?あの娘は喜ぶと思うよ」
一哉叔父さんの言葉を聞いた誠さんは、顔を引き攣らせながらあたしへ視線を向けた。
「あたしも出来るなら愛花ちゃんと住みたいです!だけど、それだと余計に誠さんの負担が…」
俯いてしまうあたしに、軽く溜め息が聞こえてきて。
「料理なら、俺に任せて?なんなら一緒に住もうか」
「へ?」
あたしの唖然とする顔を見た一哉叔父さんは、クククッと何故か楽しそうに笑っている。
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