3.おおかみなんかこわくない

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「な? これはこれでありだろ」 再びめがねをくいっと中指で上げて、得意げにもう一人を振り返った。 「俺、騎乗位のがいい。せっかくコスプレだし」 お友達は長身の体を縮こめるような姿勢でパイプ椅子に座り、スマホを眺めながら答える。 上に乗っかるやつ? 「やったこと、ない…です」 「まじ? ハツモノじゃん。はやく代われよー」 俺はあのとき混乱と動揺でユウを殴ったんだと思う。 いつもの無表情で、義務感で。ユウは俺にキスをした。 まわりの友達が俺を押さえて止めた。女子は騒いでたっけ。かわいそう! 悠陽くんのこと嫌いなの!? って。 ちげーよ。逆。 好きだからだよ。 「出すときフトモモに噛みついていい?」 「変態」 「いいですよ」 あれ以来、俺は誰ともキスをしていない。 忘れないように。奪い去られないように。
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