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「あいつともヤってんの?」
「…誰?」
薄目を開ける。
右の乳首を、親指とひとさし指でつまんでひねろうとしている。
「いつもいっしょにいる、でかくてまじめそうな男」
俺と「いつもいっしょにいる」のは、子どもの頃からひとりしかいない。
悠陽。
黒い髪は頓着しないから半端な長さで、服とかよくわかんねえ、どうでもいいってジャージも私服もほぼ黒一色、スポーツブランドでばかのひとつおぼえみたいにそろえてる。ひまがあれば近所を仏頂面でランニングしてる。俺はそれを家の窓から見てる。
「ま、ガタイが良くても別のとこもでかいとは限んないけどな」
その瞬間、俺はセンパイの股間を蹴り上げていた。
「いっ………! てえっ」
残念、ヒットはしなかった。
それでもセンパイは飛び退って悶える。
「んだよ!? いきなり…」
上半身を起こして、椅子の脚をつかんで立ち上がる。
「へたくそ」
カッターシャツの前かき合せながら、扉を音を立てて開け放つ。
ユウは、そんなんじゃない。全然、そんなんじゃない。
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