第七章 公私混同してしまうので退職願を出したいです

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 じっと彼を見つめていると、口づけが再開した。上唇を優しく食まれ、続けて下唇に軽く吸われる。緩急をつけて繰り返されるキスに、次第に焦らされているような感覚に陥る。  こういうとき、どうしたらいいのかわからない。もっとしてほしい気持ちがあふれ、さりげなく自分から舌を差し出して隼人さんのキスに応えると、彼は一瞬切なそうに顔を歪めた。  引かれてしまったかと焦り、すぐさま口づけを中断しようとしたら、いきなり深く舌が差し込まれキスはあっという間に深いものになる。 「んっ……んん」  私からも舌を絡ませて応えようとするが、隼人さんにされるがままだ。腰に腕を回され、より隼人さんと密着する体勢になり、ますますキスは激しいものになっていく。  くちゅくちゅと唾液を交換するような肉厚な舌の動きに翻弄される。淫靡な水音と漏れる吐息が静かな部屋に響いた。胸が苦しいのは、呼吸がうまくできないことだけが原因じゃない。  頭がクラクラして足元もおぼつかなくなりそうだ。怖くて、でもやめてほしくない。じんわりと涙の膜が目を覆う。気持ちが昂って彼の首に腕を回すと、隼人さんがとっさにキスを終わらせた。 「あっ」  出鼻を挫かれたとでもいうのか。彼と反対の行動を取った自分が恥ずかしくなる。とっさに謝罪の言葉を口にしようとしたが、息が上がって難しい。  すると隼人さんはこつんと額を重ね、私を見下ろしてきた。
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