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第5章 未来 〜想い・奇跡〜
あれから、2年の月日が経って私達は大学生になった。
私は、看護師を目指して看護学校へ通って技術などを学んでる。
蓮はというと、医者を目指して医学を学んでる。
2人とも、司のような病で苦しむ人達を助けるために頑張っているんだ。
ブーッ、ブーッ
メールがなった。誰からからだろう?
そう思ってスマホを取り出す。
あっ、蓮からだ〜。
『陽菜、今日授業が終わったら会えるか?』
確か、用事はないはず。
『良いよ〜。久しぶりに会えるの楽しみにしてる。』
ポチッ
早く授業終わらせて、会いたいな〜。
˚✩∗*゚⋆。˚✩☪︎⋆。˚✩˚✩∗*゚⋆。˚✩⋆。˚✩
授業が終わって私は、あの公園へと向かい始めた。
久しぶりの蓮の姿はどんな感じなんだろう〜。
と、考えていると隣に小学生くらいの男の子が同じ方向に進んでいた。
懐かしいなー。
あの頃は、司と砂遊びしてたんだよね。
なんて事を考えていたら...。
「あのぉ、お姉さん。」
はっ、と我に返った。
すると、さっきの男の子が私に話しかけてきていた。
「どうしたの〜?」
と、顔を見た瞬間、私は驚きのあまり動けなくなった。
なんと、目の前に司にそっくりな男の子が立っていたの。
「バス停って、どこにあるか知らないですか?」
「私、今からそのバス停の近くを通るんだけど。良かったら、案内するよー。」
「いいですか?
ありがとうございます!」
嬉しそうに笑う男の子の姿は、司そっくりで愛おしかった。
「そういえば、君名前はなんて言うの?」
「僕の名前は、松元司。お姉さんはー?」
「私の名前は、桜井陽菜」
「よろしくね。」
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色々と話をしていたら、あっという間にバス停へと着いた。
「陽菜さん、ありがとう。ここまで連れて来てくれて。」
「いえいえー、こちらこそお話楽しかったよ!
ありがとう。」
と、お互いに手を振って別れた。
ブーッ、ブーッ
スマホを見ると、蓮からメッセージが届いていた。
『公園のベンチにいるからなー。』
あっ、居たー。早く行ってさっきの事話さなきゃ。
「れーん、久しぶり〜。」
「久しぶりだな、陽菜。」
蓮は、すっごくカッコよくなっていて、ドキッとした。
「あのね。さっき司にそっくりな男の子にあったの。
きっと、元気にしてることを伝えに来てくれたんだよ!」
「え!
そうだったのか、良かったな!」
嬉しそうに聞いてくる蓮を微笑ましく拝んだ。
「うん!
しかも、その男の子の名前が、松元司君なんだってー!」
陽菜は、嬉しそうに話してくれる。
「俺も会いたかったなー。」
でも、司にはやっぱり嫉妬するよなー。
俺も陽菜の事が好きなのに。
「元気でよかったー!
司が奇跡を起こしてくれたんだね。」
「そうだな!
本当に元気そうで良かった。」
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しばらく話したあと、俺達は今の様子を伝えあった。
看護師のお世話の事や医者の治療についての事など沢山話した。
「司も、頑張ってるんだ。俺も、もっと頑張って立派な医者になってみせる。」
「私も、患者さんに寄り添える立派な看護師になるよ。」
「頑張ろう!」
俺達は、決心を固めたんだ。
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しばらくだったある日、俺は司の墓参りに来ていた。
掃除を済ませ、花を供え線香に火をつける。
そして、手を合わせて語りかける。
「司、久しぶりだな。
約束通り、手紙を皆に届けたぜ!
陽菜は、元気に過ごしてるから安心してくれ。
俺達な、医者と看護師を目指して頑張ってるんだ!
応援してくれよな。
それとな、俺、陽菜の事が好きになってしまったんだ。
司との約束は必ず守る。
だから、この気持ちを陽菜に伝えてもいいか?」
俺は、司の返事を待ち続けた...。
数分後、隣に足音がして俺は振り向いた。
そこには、司にそっくりな男の子がいた。
「君は...司なのか?」
問いかけると、男の子は優しく微笑んだ。
「蓮、久しぶりだね。元気だった?」
「うん。」
「良かった〜。
実はね僕は、この子に生まれ変わったんだ。
そして、一時的に前世の記憶が残っている状態なんだ。
だから、時間があまりない。手短に話すよ。」
こんな奇跡が、起こるなんて...。
「分かった。」
「僕は、2人の幸せを誰よりも願っているんだ。
もちろん、2人で幸せになって欲しいと思ってるよ。
それに、約束したでしょ?
陽菜を守るって。
だったら、側にいてあげて蓮。
僕に遠慮はいらないから...。」
「分かった。
司、ありがとうな。
必ず幸せにして見せるから安心してくれよな。」
「ありがとう...蓮。
記憶がたとえ無くなったとしても、2人の幸せを見守ってるよ。
さよなら、親友...。」
そして、地面に男の子は倒れた。
慌てて、それを支える。
「司君。大丈夫?」
「はっ、はい。あなたは...?
僕は、ここで何を...。」
「気がついたか。俺は、高橋蓮。
怪我はしてない?」
「はい。大丈夫です。」
ほっとした俺の頬には一筋の涙が流れていた。
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あれから月日が経って、クリスマス前日。
俺は陽菜に告白をすると決めた。
早速、メールを送らないと。
『陽菜、クリスマスの日予定ある?』
『ううん〜。ないよー!
どーしたの?』
『あのさ、もし良ければ話したいことがあるから、会えないかな?』
『もちろん、良いよ〜!』
『ありがとう。陽菜!』
『いえいえー!』
よっしゃー!
緊張するけど、ここで想いを伝えなかったら絶対に後悔すると思う。
それに、司との約束も守るために。
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12月25日、クリスマス当日。
俺は、花束を抱えて約束の場所、公園へと向かう。
すると、陽菜からメッセージがスマホに届いていた。
『楽しみすぎて、もう着いちゃったー。』
『分かった、もう着くから待ってて。』
急がないと、陽菜を寒空の下に1人で待たせる訳には行かない。
俺は、無我夢中で走ってようやく着いた。
「陽菜ー、お待たせ。遅くなってごめん。」
「ううん、大丈夫だよー。」
そう言って、優しく微笑んでくれた。
「蓮、話したい事ってなに〜?」
「あのさ、陽菜。
俺、ずっと君の事が好きです。
付き合ってください!」
この関係が崩れる事をずっと恐れていた。
でも、今は怖くない。
「蓮、私も大好きだよ。
だから、よろしくお願いします!」
そう言って、俺の手を優しく握りしめてくれた。
「はい!
陽菜、ありがとう。
何があっても君の事を絶対に守るから。」
「嬉しい!
ありがとう、蓮。」
そうして、俺達は付き合うことになったのだった。
END
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