第1章 運命 〜出会い〜

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第1章 運命 〜出会い〜

私には、中学生までの記憶がほとんど残っていなくて...。 何故か思い出そうとすればするほど胸の奥が締め付けられるように痛くなる。 この気持ちは一体なんだろう...? ✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。 「陽菜ー、早く起きないと間に合わないわよー。」 やばいっ、着替えなきゃ...。 足早にリビングへ向かうとメロンパンが食卓に置いてあった。 「お母さん〜、遅刻するからパンだけ持ってくね!」 「分かったわー、早く行くのよー。」 「じゃあ、行ってきます。」 私ー桜井陽菜は、太陽高校の2年生で、今日が始業式。 なのに、寝坊しちゃって遅刻寸前の危機! 短いスカートをヒラヒラと揺らしながら、私は力を振り絞って走っている。 この曲がり角を過ぎれば学校! と、思ったその時.....! 角から人影が! どうしよう...。坂道だから止まれないよー! このままじゃぶつかる...! ドンッ! 「いたっ...。」 私は、勢いよく体当たりした弾みに、足が絡まってコケてしまった。 傷がジワジワと痛み出してきた...。 「痛いよー、足がー。」 って…あれっ? 手に持っていたはずのパンがない! 「私のパンはどこー。」 辺りを見渡して探していると目の前に、黒髪で高身長のイケメン顔な青年が私を見ている。 違和感を感じて、彼の口元を見ると...。 なんと、私のメロンパンが押し込まれている! きっと、ぶつかってコケた時に....。 どうしよう、最低なことをしてしまった...。 しかも、同じ中学校の制服を着ている。 どうしよう....。 なんて考えていると、彼の大きな手が私の目の前に優しく差し出されていた。 私は、その手を掴んで立ち上がった。 「あっ、ありがとう。」 彼は、さっとパンを食べ終わると、満足そうな顔で私に顔を向けてきたの。 「あー美味かったぜ、メロンパン〜。」 と、言うと今度は、真面目な顔で彼は私を見てきた....。 「あの、さっきはすまなかった...。 遅刻ギリギリで走れば間に合うと思ってたら、君にぶつかったんだ...。」 「気にしないで! 実は私も遅刻ギリギリで走ってたんだけど、坂道だったから止まれなくて、ごめんね。」 必死に謝っていると、学校のチャイムが遠くから鳴り響いていた。 「やばいよ...走ろう、先生に怒られるよ。」 「そうだな!」 私は、傷の痛みなんて忘れて無我夢中になって走った。 そうして、正門まで走り切った私と彼は靴箱前に着いてクラス分け表を見ると...。 「私は、2年2組だった。」 「俺も、2年2組だ。」 同じクラス! こんな偶然ってあるんだ! 「あ、えーっと君の名前は?」 そういえば教えるのを忘れてた。 「私は桜井陽菜」 「俺は、高橋蓮だ、よろしくな」 「こちらこそ、よろしくね!」 再び差し出された手を握った。 そして、新しいクラスに私達は向かった。 でも、途中で...。 緊張のあまり、お腹がすごく痛くなって...。 「蓮、先に行っ...てて...。」 急に視界がぼやけてくる...。 フラフラして気持ち悪いよ...。 もう、立ってられない...。 「おっ、おい陽菜!」 蓮が私の名前を呼んでる...。 けど、もう限界だよ...。 バタンッ! 私は、その場で気を失った...。
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