〜職場体験準備#2〜

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「あー、暇だわぁ」 中井は唸っていた。だけど僕はそうは行かない。 逆に忙しい。 「新作ゲームの話しない?」 中井は大司に提案をした。 でも奈緒ちゃんはきっとその話についていけない。 話題を逸らさないと。 「ね、ねぇ大司帰り道一緒だし一緒に帰らない…?」 意外にも奈緒ちゃんが話題を逸らした。 きっと必死なのだろう。ふたりが一緒に帰れるのは僕にとって微笑ましいことだ。 その時、気のせいだろうか、横田亜衣がこちらを睨んだ気がした。 目に光は無かった。 まるで夜の曇りの空のようだった。 どうしたのだろう。 「あー、いーよー。小学校の頃、下校班一緒だったもんね」 「それでさー、5年生の時ーー」 ふたりの思い出話がはじまった。ふたつの小学校が集まったこの学校では、あきらかに大司たちの小学校の人の方が少ないが、この班では中井以外みんな同小だ。 「あー、覚えてるわ、楽しかったよなーあれは。なぁ、今日自転車押して帰らないか?」 優吾は頭の回転が恐ろしく早い。 自転車→早い→早く別れる 自転車押す→遅い→長く一緒に居られる! 優吾は目が輝いた。サングラスをつけても眩しいような、瞳だった。 「いいよ!」 奈緒はとびきり嬉しそうだった。 太陽より眩しい笑顔だった。 「あ、あの、昔みたいに帰りたいなーって」 この時、大司の顔は赤色のペンキだった。 「た、大司…?顔赤いよ。大丈夫?氷もってこようか?」 「いや、一時的なものだから…」 「?」 奈緒は分かっていなかったが、僕には分かる。 つまり、照れてるのだ。 大司は。 脈ありか? わくわくする気持ちを抑えていたら、中井が声をかけてきた。 「な、なぁ優吾。あのふたりって付き合ってるのか?」 「んー分かんない」 僕はとびきりのおとぼけ顔を見せた。 「くっそー!リア充かー!非リアの俺が泣くじゃ無いかー!」 中井は頭に来る高い声でさけんでいた。 (僕だって非リアだし) と中井に言いたかった。
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