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「はぁ!?大司、騙されてんねー、こんなクズ女の事庇ってどうすんの?」
奈緒の事をボロクソ言う横田。
今までのぶりっ子な横田とは大違いだ。
「奈緒はクズじゃない」
奈緒は涙目だった。だが、きっと悪口に泣いているのではないのだろう。
今にも感動の涙がこぼれ落ちそうだ。
奈緒の涙の器がいっぱいになった時、涙が溢れた。
「…っ奈緒!!」
容姿端麗、文武両道の大司の顔が歪んだ。
ただ、何に奈緒が泣いているのか勘違いしている。
「横田!何してんだよ」
いつもクールで、時々可愛い大司の顔がここまで崩れていく所ははじめて見た。
涙腺崩壊した奈緒を庇って、大司がここまでするだなんて。
悠依の為に心を乱した事のある優吾は分かる。
これは…「好き」の目だ。
「何?私の方が…私の方が…」
と言って、悔しそうに横田は去っていった。
「これって、もしかして…」
と言ってふたりの恋愛事情に気づいた高見さんはおろおろしていた。
中井も、
「くっ、、俺も青春を…俺にもこんな大切な人ができればいいのに…」
と、悔しそうに嘆いた。
「いるけどな」
と、小さく呟く中井の声が聞こえた。
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