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高見さんの話すことは壮絶だった。
簡単に訳すと、奈緒ちゃんは二股しているということだった。
それはとてつもない嘘だった。
「なんか、横田さんが言ってたよって話をよく聞くの。あくまで噂だからよくわからないけど、多分、、」
まさか、横田が、、。いや、まさかではない。横田が奈緒ちゃんのことを嫌ってそうな伏線は明確にあった。
ーーーー何?私の方が、私のほうがっ
職場体験準備のときの横田の声が脳裏を横切った。
悔しそうに顔を歪めて走り去った横田。
それは恋愛漫画によくあるシーンだ。
それを実際目にしてみると壮絶だった。
「奈緒ちゃんはそんなことしてないっ!」
僕は心から叫んだ。
「うん。わたし、分かってる。奈緒ちゃんはそんなことするような人じゃないし、そもそも心当たりが大司くんしかいないよ」
僕は心からホッとした。せめて高見さんが信じてないので。
「でも、、単純な人はすぐ信じそうだね、、噂は中々きえないからなぁ、」
僕らは中学生。しかも一年。小学生の名残が消えずにある。一番噂がたつとめんどくさい時期だ。前例では、五年間その噂に悩まされたと言う相談も優吾のもとには届く。それはなんとも優吾にもできないのだ。
噂はこどもの日のこいのぼりのように泳ぎ続けるのだから。
「どうしよっか、、」
「幸い、まだ噂はそこまで広まってないの。横田さんが言い出したことだから、、みんな信じてないのかも」
横田は気に入らないことがあるとすぐに噂がを流す。これはみんな知っていたらしいのだ。
「これなら、、まだどうにかなりそうだね」
「でも、噂があろうと両思いになれれば幸せだと思う。大司くんに伝わっても大司くん、信じなければ」
その言葉は僕に不安と喜びを同時に感じさせた。
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