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〜見てしまったこと〜
そんな中、奈緒から電話が来た。今は夜の7時。早寝早起きの優吾にとってはもう眠い時間だ。3時間の勉強は、眠い目をこすりながらいつもやっている。
「もしもし〜。奈緒ちゃんどうしたの?」
「優吾…。私、私、見ちゃったの」
何を…?。なんか恥ずかしいことでも?。
「帰り際に大司が…。向葵に告られてる所」
奈緒は涙ながらに言った。今の奈緒が1番見ちゃいけないことだ。
「嘘!!。返事は??」
つい聞いてしまった。これは己の信条に反する。
「『キモい。こっちくんな。』だって。私…。告れない。というか話せない。向葵より私キモいもん。大司は私のこと絶対嫌いだよ。もうヤダ…。無理…。優吾。私もうっ。駄目」
うむ…。大司が向葵に言いそうな返事だ。奈緒の心にもっと負荷を与える。
「向葵ちゃんは向葵ちゃん、奈緒ちゃんは奈緒ちゃんだよ。大司からして向葵ちゃんと奈緒ちゃんは別かもしれない。まだ大司の気持ちは分からないけど、奈緒ちゃんはキモくない。大司は口が悪いから、いきなり告白されて、言い方悪いけど、向葵ちゃんのことを悪く思っていたのかもしれない。奈緒ちゃんはゆっくり関係を築いていこう」
これは僕の本音だった。
「優吾…。優吾にそう言ってもらえて少し安心したよ。私、もう寝ることにするね。明日の朝、7時半から部活だから、7時から学校で話していい?。事務所で」
もちろん。いい。
「うん。いいよ」
僕も明日早いからもう寝ることにした。
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