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〜過去に戻りたくなってしまう〜
***
「ねぇ。優吾。私ね。大司との昔の思い出を思い出すとね、涙が出ちゃうの。泣いちゃう。小学6年生の頃は楽しかった。中1になった今はちっとも楽しくない。正直言って、学校行ってもいいことないの」
「へぇ…。そうか、それじゃあ新しい楽しい思い出を作ろう。僕も手伝うよ」
新しい思い出を作ろう。そして…。
「だめ。だめなの。大司と話したいよ」
やっぱりそうか。
「…。分かった。一緒に話しかけてみよう」
大司と僕はいつも一緒にいた。だから、昔は薄々気づいていた。でも、やっぱり違うかと思っていた。奈緒と大司が両想いなことを。
「ありがとう」
奈緒は涙を流していた。ふとしたときに
いきなり。
「…。そうだ!!。奈緒ちゃんは大司のどんなとこが好きなの??」
「それは、ギャップとかかな。冷たそうに見えて、実は心があったかくて優しい。あとちょっと可愛い」
ーーーそれは小学6年生の頃の印象的な話
私たちは6年生を送る会。いわゆる6送会の準備をしていた。
奈緒はガムテープが使いたかった。今持っている人は大司。心臓を高鳴らせながら大司に話しかけた。平然そうにみえても、心では恥ずかしいのだ。
「大司ー?。ガムテ貸してー」
大司はとてもニヤけていた。
「えー。やだ」
「なーんで。はやく貸してよ」
「はい」
渡されたのはガムテープのカス。つまりガムテープをちぎったときに端っこにできる糸の様なものだ。
「なーにこれっ。いーらない」
私は大司の肩に乗せた。これがくすぐったかったみたいで、笑っていた。とてもかわいかった。
「ははははは」
そんな小競り合いが続いた。
しばらくして、地べたに座っていた私たち。大司はそばにあった椅子の下からガムテープをくれた。
なんだか照れているようだった。
その時わたしは大司の心の暖かさに暖まった。
なんだか冬なのに体がほかほかしていた。
ーーーしばらくしてガムテープを服に付け合うのが始まった。
その時、優吾もいた筈だ。
「くぅっ。それは可愛いっ」
優吾は話に浸ってしまっていた。
どんだけくだらない話でも、人によっては思い出となるんだ。
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