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 余程タカシの身が心配なのか、ランは震える声で訴えた。 「前に、タカシに内緒で警察に相談しようとした事があったんだ。でもそれがバレて、タカシは勤めていたホストクラブからそのまま拉致られてボコボコにされて。……タカシが右足を引き摺っているの、気が付かなかったか?」  ランの問い掛けに、蔵は眉間にしわを寄せて首を振る。  足を引き摺るも何も、タカシはフラフラに酔っぱらっていたから、その足の状態なんて全然分からなかった。  でも、ランがどうしてタカシを見限らないのか、蔵も何となく分かってきた。  今はあの通り、どうしようもないヒモクズ野郎だが、以前のタカシはもしかしたらそうではなかったのかもしれない。 (そういえば、ランは『タカシがこんなになったのは、元々はオレの所為』と言っていたな。満更あれも嘘じゃなかったって事か?)  そんな蔵の思考を読んだように、ランはこくりと頷いた。 「タカシの足が悪いのは、その時のケガが影響してるんだよ。ヤクザとトラブってた事もホストクラブにバレて、売れっ子ホストだったのにあっさりクビにされてさ。ナンバーワンだった当時の売上金も、店が壊された修理分だって言われて全部取られちまって。……タカシはオレに関わったせいで、人生が滅茶苦茶になったんだ。だからオレを恨んでるんだよ」 「でも、借金は違うだろう? あれはお前じゃなくて、タカシがヤクザから借りたのが発端になってるワケだし」  蔵がそう口にしたところ、ランは悲しそうな顔になった。 「それも全部オレの所為だよ。当時、未成年で家無しのオレを拾って飼っていたのが、質の悪いヤクザだったんだ。そこから逃げ出したオレは、偶然タカシと出会って……よせばいいのに、身の上話なんてしちまって」  タカシは、ランの悲惨な人生に同情した。  ヤクザに金を払って、ランを自由にしてやろうと考えたのだ。  だが、ナンバーワンホストの地位を確立するために複数の客の売掛金を負担していたタカシは、三十万の現金はすぐに用意できなかった。  だから、あくまで一時的のつもりで金融業者から金を借りたのだ。
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