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 会社とアパートの行き来のみで気の合う友人がいないシンは、思い切ってココを食事に誘うことにした。  「ココ、この後、用事ある?」  「ううん、ないよ?シンに会いに来たんだし」  「えっ、わざわざ、俺に会いに来たの?」  「うん」  社会人五年目となると、人を疑う力も身につく。片道二時間のバスに、慣れない電車の乗り継ぎに一時間。五年ぶりに合う相手にそこまでの労力をかけてくれたココに、若干の不信感も残る。  同時に、それを悟られない力も身につけてきたわけで。  「だったら、これからご飯行なんてどう?」  「もちろんいいよ。近場だと嬉しいかな」  「ちょっと待ってて」  即答したココにシンは大喜び。遅くまでやっている居酒屋に電話をかけると、たまたまキャンセルのお客がいて予約できるとのことだった。  (運が味方するなんて。普通の人なら、ついているって浮かれるところだけど、俺は非常に運が悪い。その僅かな幸運をここで使ったってことは、嫌な予感しかない)  シンは気を引き締めた。
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