タイマン戦 国語VS社会

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タイマン戦 国語VS社会

「じゃあまずはタイマン勝負だ。最初は国語の天才VS社会の天才。戦う者は所定の位置まで移動。戦わない者は地下へ移動してくれ」 言葉を言い終えると素直に中学生たちは移動した。戦う者は心構えを。戦わない者は『後に戦うかもしれない者』への観察をする。 初戦。文系同士の戦い。彼らはワクワクしていた。どちらが勝利するのか。もちろん勝敗は終わってからでしか分からない。だからこそ面白い――。 やるからには相応のルールがある。なんでもありではつまらない。ルールの上でどれだけ模索するのかが必要だ。 ルール1.相手を殺害するのはアウト ルール2.相手のギブアップ、もしくは戦闘不能になった時点で敗北とみなす ルール3.戦闘前は相手と200mの距離をとる ルールはこの2つ。至極簡単だ。これらを踏まえた上での勝負。事前にこのルールは知らされている。天才がこんなに簡単なルールを破るわけもない。 天皇様とその他御一行は観戦席へと座った。超小型の高性能ドローンにより生中継で戦いを見ることができる。 緊張の第一戦。激しい戦いが始まろうとしていた――。 場所は東京都渋谷区。スクランブル交差点と言えば分かりやすいだろう。そこに2人の少年がいた。 国語の天才。その名は『藤原銀杏(ふじわらいちょう)』と言う。身長は170cmほど。天然パーマを揺らしながら立っていた。 「現代の文豪」「心を司る神」とまで言われた少年。彼の頭の中には常に文章が流れている――。 「――まぁそれは言い過ぎだけどね」 ……とのことらしい。とにかく彼の準備はできていた。 「なーんか変なことになったな。日本どうなってんだよ。普通1つの県を使ってこんなことしようなんて思うかよ」 今更言ってもしょうがない。彼も了承を得てここまで来ているのだ。それになんだかんだ言いつつ彼もワクワクしている。 その証拠に呟きつつもストレッチをしていた。程よく付いた筋肉。中学校では陸上部に所属しているらしい。 「でもやるからには優勝だな。なってやるぜ最強の頭脳に――!!」 社会の天才。名前は『牧野武蔵(まきのむさし)』と言う。身長は167cm。ガッシリとした体つき。筋肉に恵まれているようだ。 「社会情勢の知識者」「タイムトラベラー」の異名を持つ彼。この世全ての社会知識を持った彼もこの状況には疑問を持っていた。 「だ、大丈夫かな。こんなことしてて」 普通である。天才であっても普通に狼狽える状況である。しかしそこは牧野武蔵。『そういうもの』で適応し始めていた。 「とにかくやるか!」 こちらもやる気満々。準備運動も完璧に済ませていた。 戦いはファンファーレと共に始まる。そう、天を貫くような音で。
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