ドロップ

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俺は兄貴が嫌いだ。 勉強も運動もできて冷静で、俺は兄貴と喧嘩したことなんてなかった。だけど俺は違った。だから、小さい頃からいつも比べられてきた。 「お兄ちゃんを見習いなさい」 この言葉を親から数え切れないほど言われた。俺の心は荒んでいった。 俺は家に帰るのが嫌になって、中学の頃から夜遅くに帰るようになった。 ある日、俺は親にものすごく怒鳴られた。兄貴はその怒号の外側で表情を変えずにいた。親はその時もいつもの言葉を言った。俺はその言葉を無視して、自分の部屋へ向かおうとしたときだった。 「俺とあいつは違うから」 兄貴の声が聞こえた。俺は「自分は弟と違って優秀だ」と言いたいように聞こえた。 兄貴は表情の裏側まで冷たいのだと知った。 俺はその時、兄貴のことが嫌いになった。
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