ドロップ

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俺は家に帰った。玄関にはいつもはない靴が一足並んでいた。兄貴のものだった。兄貴は大学4年生で一人暮らしをしているが、たまに家に帰ってくる。 俺は部屋に荷物を置いてから、また外に出ようと思った。 リビングからは小さくテレビの音が聞こえていた。親はきっと玄関を開ける音や足音を聞いて、俺が帰って来たとわかっていただろうが、もう声をかけなくなっていた。 また出かけるために玄関で靴を履こうとすると、兄貴が2階から降りてきた。 俺は気にせず靴を履き、ズボンのポケットからスマホを取り出そうとした。そのときだった。 ポケットから何かが落ちた。 俺は足元を見た。廊下は薄暗かったが、階段とリビングからの光でそれが何かわかった。 タバコの箱だった。
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