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「お姉さんみたいな下っ端社員は経営役員とお近づきになんてなれないよね。身なりもこんなんだし」
「入社したの最近だから、お姉さんの顔を覚えてたら声をかけて貰えるかもと期待したけど、こんな見窄らしい女に高貴なC7が話しかけるわけないわ!!」
世那と玲那にとって母に愛されずに育った私は侮辱していい存在。
姉妹だから仲良くするよう母から言われるも、できるなら関わりたくない。
「キャー、C7がいらしたわ!!」
女性の歓声があがり、世那達が声がした方に走っていく。
今日はやけに新幹線口に着飾った若い女の子が多いなと思っていたら、頼翔君達を待ち伏せするために集まっていた。
頼翔君達経営役員は今週末、東京出張に出ていて、夕方に京都に戻ってくる予定だった。
勢いがあるベンチャーIT企業の経営役員をしている現役京大生で、才色兼備なエリートだから、かなりモテている。
流石に追っかけがいるほどだとは思っていなかったが、芸能人並みにファンがいた。
頼翔君に見つかったら駆け寄ってきて面倒臭い事になりそうだから、世那達を放置して、駅から出る事にする。
「咲良、迎えにきてくれたんだ!!」
「鳴瀬、目立つから行くな!!」
「はっ、なんで」
空気を読んだC7のCOO、最高業務執行責任者の大倉蓮さんが頼翔君の肩を掴んで行かさないようにするも、手を振り解き、私の方に速歩きで近づいてきた。
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