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「咲良、何してる!!」
個室のドアが開き、肩で息をしてる頼翔君が声をあげた。
勤め先のCEOが仕事終わりの飲み会に顔を出したから一同声をなくす。
「部署の皆さんとの飲み会です」
「……」
頼翔君に飲み会に参加する事をLINEで伝えるのを忘れていた。
無断で飲み会に参加した事に腹を立てたのか、不機嫌オーラを放っている。
「浜宮さん、帰られた方が……」
「そうですね。……すみません。今日は誘って下さりありがとうございました」
カバンを手に取り、部屋から出る。
「帰ってくるの10時過ぎじゃなかったの?」
「咲良が居酒屋ビル内にいるからドタキャンして帰ってきた」
いつのまにかにスマホにGPS機能を入れられ、位置情報を把握されていた。
「すみません。あそこの部屋の代金、支払っていいですか?後、お任せで1人1万円の予算で追加料理を持って行って欲しいんですがいいですか?」
飲みの場の空気を悪くした事を気にした頼翔君が店員さんに声をかけ、支払いをした。
「咲良、SNS上に顔バレしてるし、外出時に何かあったら心配だから1人で出かけるの辞めて」
「会社の飲み会だよ?マンションから徒歩10分圏内の居酒屋だし危なくないよ」
「それでもだめ。咲良はマンションの隣にあるスーパー以外出歩かないで!!」
私の顔を無表情でじっと見つめ、圧をかけてくる。
「……わかった」
頼翔君には逆らえない。
いつのまにか繋がれた手。マンションまでの道を頼翔君と歩く。
「咲良、お腹すいた。ご飯すぐに食べられる?」
「うん。帰ったらすぐにご飯にするね」
私は頼翔君の言いなりになっていた。
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