忘年会

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「鳴瀬CEO、お会いできて感激してます。水田と申します。お酌してもよろしいでしょうか」 頼翔君が参加するからと他部署の社員や学生アルバイト、計28人もの社員が駆けつけた。 「……頼翔君、大丈夫!?」 「……」 お酒が飲める歳になってから、8ヶ月しか経ってない。 社員全員がお酌をするから、頼翔くんは限界に達している。 「……すみません。鳴瀬CEOと先にお暇しても宜しいですか?」 「そ、そうですね。気づかずにすみません。タクシーをすぐに手配致します」 飲ませ過ぎで顔色が悪い。 小さなおちょこで受けるも、人数が人数なだけに、かなりの量になってしまった。 タクシーが到着を席に伝えにきた仲居さんに頼翔くんは名刺を渡し、「支払いは請求書を起こして送って下さい」と伝え、お見送りをしようとする社員達に対して、「ここでいいです。楽しんでいて下さい。私はこれで失礼します」と声をかけ、私を連れ添い退出する。 スマートな対応に感心した。 「頼翔くん、……体、大丈夫?」 「咲良に介抱して貰うから大丈夫」 タクシーの中、ぴったり隣に座り私を抱き寄せ背中に腕を回し肩に顔を埋められ、頼翔君が放つ色香に眩暈がしてしまう。 15分ほどでマンションに到着し、タクシーチケットをドライバーに渡し、先に降りた頼翔君は降りようとする私に手を差し出し、降りた私の腰に手を添え、マンション内にエスコートする。
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