バッドエンドなヤンデレ溺愛〜昔、お世話していた男の子の執着からは逃れられない〜

逃走

「退職後の手続きもしないといけないな」

退職届を一方的に提出して逃走。
会社から退職時に渡される書類をどうするか悩む。

雇用保険被保険者証はハローワークで、年金手帳も社会保険事務所で再発行して貰える。
確定申告は12月末退社になるから、会社がしてくれるはず。
離職票と健康保険資格喪失証明書がないのは非常に困る。健康保険加入と再就職ができない。

勤め先のCEOから住所連絡先特定されずに逃げるのは無理なのかもしれない。

「こんな季節に四国でお遍路さんするの、咲良？」

GPSを入れられたスマホは解約して置いて出てきた。
なのに、目の前に頼翔君がいる。
四国の香川高松の地に着いて、1時間も経っていない。

「な、……なんで頼翔君、ここにいるの！！東京出張は！！」

「大倉が行くから問題無い。咲良が俺の前から居なくなろうとしてるのに、仕事なんかできるかよ」

頼翔君は京都から私を着けてきたらしい。
尾行されてる事に全く気づかなかった。

「四国八十八ヶ所巡りはバスだと大変だからレンタカー借りてきた。俺も付き合う。巡ったら煩悩が消えて願いがかなうんだろう？」

路肩に停めてある最高クラスのレクアスのトランクに私が手に持っているスーツケースを積み、私の腰に手を当て助手席を開けて座らせる。

「車だと10日前後か。5日で制覇するぞ！！」

逃走は即日捕獲され、不機嫌オーラを放つ頼翔くんと禊のお遍路旅行をするはめになった。