母親代り side 頼翔

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「そっか、らいくんも片親でネグレストされてるんだね」 俺に声をかけてくれたお姉さん、浜宮咲良も小学1年の時からネグレストを受けていた。 咲良を引き取った母は稼ぎがいい夜の仕事をしていて、娘に興味がなく滅多に帰ってこないらしい。 かなりオンボロな狭いアパートで月1万円の生活費でやりくりをしている咲良。 家賃光熱費水道代スマホ代は父親の口座から引き落とされるから困る事はないが、生活費はギリギリでかなり苦しい暮らしを送っていた。 「私も同じだったから分かるよ。良かったらこれから夜ご飯、一緒に食べる?」 咲良はかなりひねくれていた俺に救いの手を差し伸べてくれた。 子供を放置しているネグレストな家庭は多いのかもしれない。 生活するために稼がないといけなくて子育てが疎かになってるならまだ分かるが、自分優先で子供を疎かにしている親は多い。 「明日はらいくんが好きな唐揚げにするね。ひき肉は冷凍して、後日ハンバーグにする!!」 半額食材ハンターをして、得た食材で次の日に手料理を作ってくれる咲良。 咲良の作るご飯が猛烈に美味しいのと、彼女の側にいるとほっとして癒されるから、毎日のように彼女の家に通った。 出会った当初は、咲良の事を母親のように慕っていた。 同じ境遇の俺を親身にサポートしてくれた咲良。 咲良に母性を求めていた。
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