同居

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同居

「頼翔君、起きて!!今日は1限目から講義があるんでしょ!!」 布団を剥ぎ取り、上半身裸で眠る頼翔君の体を揺する。 「朝ごはん、無しにするよ!!」 「食べる。その前に、傷に薬、塗って」 傷痕を見せて私に責任を感じさせたいのか、日に何度も舐めさせられる。 「今日の朝ごはんは?」 「お味噌汁とおにぎり、バスに乗り遅れたらいけないから、さっさと起きて、ご飯食べてから準備して!!」 小学生の時の方がまだしっかりしていた気がする。 「咲良、お弁当は?」 「はい。行ってらっしゃい」 大学での頼翔君はわからないけれど、会社ではCEOとしてそれなりに大人な対応をしてる。 頼翔君の専属家政婦として辞令がでた訳ではないから、最低限の身嗜みを整え、仕事部屋に籠る。 任されてるのはサブスクさくらさくのトップページの更新。 IT企業は在宅勤務が主流。 クライアントとの接客もリモート対応が多く、総務と営業以外は出社する事はあまりない。 『浜宮さんって、鳴瀬CEOの恋人なんですか?』 「年下の幼馴染で、弟みたいなもんです。生活力無いから、家政婦さんとして雇われて同居してるだけです」 頭脳明晰で容姿端麗な大手ベンチャー企業を立ち上げたCEOの頼翔くんはかなりモテる。 在宅勤務でやり取りが全て録画されていなかったら、頼翔君の事を狙ってる女子から嫌がらせを受けてると思う。
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