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プロローグ
1Kのオンボロアパート。
必要最低限の家具家電しかない。
掃除、洗濯、食事の準備、自分でやらないと誰もやってくれない。
不定期に置かれる机の上の札束は必要最低限しか置かれないから無駄に使えない。
おもちゃや漫画なんて買えない。
夜の仕事をしてる母。
私が学校に行ってる時間帯に帰ってくる。
その時間帯に私が家にいたら、暴力振るわれるから、熱があっても学校へ行く。
「こんな時間に1人で出歩いたらいけないよ」
未就学児の男の子が日が暮れた午後8時に1人でスーパーマーケットに買い物に来てた。
「親が帰ってこないから、ご飯買いにきた」
「この時間はもうお惣菜コーナーは何も残ってないよ」
値下げシールが貼られる時間帯。
お惣菜の半額は割高で味に飽き、小学3年生になってから私は値下げ食材で自炊を始めた。
「今日の夕ご飯のおかずはささみのピカタとほうれん草とエノキのソテー。家に食べに来る?うちもママが夜の仕事してるから家にいない。一緒にご飯食べよう」
体の線が細くガリガリで、くたびれてよれよれの服を着た男の子を見捨てる事はできなかった。
「いいの?」
「うん。私が作るから、味には保証できないけどね」
「じゃあ、300円でお願いします!!」
激安スーパーの値下げ時間に購入した劣化した食品を上手く使い回して、なんとか食べ繋ぐ日々。
放置児の私達は、夕ご飯を共にするようになった。
私と同じ境遇の5歳歳下の男の子は、弟のようなかけがえのない存在になった。
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