秋月組のハロウィンへようこそ

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 ある日、寮に帰るといつもと少し風景が違っていた。  秋月組の札が掲げられた門をくぐると、庭の木々には見慣れないイルミネーションと。  置かれた木製のベンチには、中をくり抜いたカボチャに目鼻を彫って蝋燭を灯したランタン。 「……なんだこりゃ」 「ハッピーハロウィーン!」  声と共に玄関ドアから飛び出してきたのは、白い布を被った――――。 「……唯人?」 「なんだ、つまんない。匠海君、もっと驚いてよ」  バサリと布を上げて顔を見せる。 「いや、驚いたけど声で分かるし……ていうか、何これ」 「あれ、聞いてなかった?来週のハロウィンにノルンちゃん達が来るんで、皇さんがホームセンター行っていろいろ買ってきて、少し早いけど今日飾りつけしたんだって。で、俺は当日のリハーサル」  にっ、と唯人は笑う。  『ノルンちゃん』はTEAM CHOCOLATE最年少の子役さんで、歌も上手いし演技も……という可愛い女の子だ。 「経緯は分かったけど……」 「お帰りなさい」  中から出てきた皇は白猫の百を抱いていて、その百の首には黒のマントみたいなのが着けられている。
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