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「あ。そうだ、蓮次さん!ほら、実家は車の整備工場だし、DIYとか出来そうじゃない?聞いてみようよ」
唯人が言った。
「確かに……」
「DIYなら私もそれなりのつもりですが」
皇が無表情に呟く。
「そこのベンチもランタンも私が作ったんですがね」
「え!?……すいません、あんま普通にあるんで、花見用とかに普段は仕舞ってあるのかと」
「違いますよ」
「いや、これはこれで良く出来てますよ!座り心地もバッチリ。カボチャも、可愛いっすよ!」
さすが唯人。子役からこの業界に居るだけあって、大人の機嫌取るのに慣れてる。
「そうですか。それは何よりです。では、とりあえず中に入りましょうか。匠海君はこれから夕飯でしょう」
「あ、はい」
「そろそろ奏人君も帰りますから」
一瞬、唯人と俺は同じことを考え、沈黙した。
「――――匠海君!」
「ヤだよ!俺あの人おどかすとか無理!」
「えー、やろうよ。被り物とかもあるからさあ」
「嫌だよ。機嫌いい時ならまだしも、機嫌悪かったら何言われるか……」
「いや、今日は本番じゃないし、訳話してリハーサルって言えば」
それでも冷たい眼で見られる予感しかしないんだけど……。
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