6人が本棚に入れています
本棚に追加
玄関の中で物音に耳を澄ませて待機していると、がらりと門が開くのが聞こえた。
「匠海君行くよ。――――ハッピーハロウィーン!」
結局、同じ白い布を被せられて唯人の後に続いて飛び出すと、数秒の沈黙の後
「……今日は31日じゃないよね?唯人君。匠海」
溜息混じりの声がした。
「も、なんで皆驚かないんだよ。つまんないー」
「声で分かるよ」
「匠海君と同じこと言う……」
俺はハッピーハロウィン言わなかったのに、なんで分かったんだろう……。
「匠海は、そんな背の高いお化けは遼介君かきみくらいだし、遼介君ならもう少し上手くやるだろうから」
バッサリ言われた。
「……仰る通りです。お帰りなさい」
「ただいま。来週のハロウィンの準備だろう。今日たまたま便利屋さんに会って聞いたよ」
便利屋さん、というのはあちらのプレイングマネージャーさんでこれまた皇に劣らぬ独特な人だ。
「なんだ、知ってたんすか」
と唯人。
「ああ。騒がしいことは好きじゃないけど、直接頼まれたら嫌な顔も出来ないしね。何のお菓子を用意しようか考えてたところだよ」
「そうだ。自分たちがあげるのも用意しなきゃ、っすよね。皇さんはパウンドケーキとクッキー作るらしいすよ」
最初のコメントを投稿しよう!