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「あの人のことだから、ラッピングも完璧なんだろうね。何にしようか……」
「貴方たち、熱心なのは良いことですが、そろそろ夕食が出来ましたよ。唯人君は手伝ってください」
玄関から皇が呼ぶのが聞こえた。
「はい!」
唯人は中へ入っていき
「……じゃ、飯行きますか」
奏人さんを振り返ると
「匠海。これ」
「はい?」
差し出されたのは1個の飴。
「……えーと……?」
「お化けにはお菓子だろう?それとも、悪戯がしたいかい?」
にこりと微笑まれて
「いえっ!飴でいいです」
慌てて受け取ると、奏人さんは笑って言った。
「飴『で』いいんだ」
「……怖くて先輩に悪戯なんて出来ませんから」
「先輩じゃなかったら?」
「え?」
「……何でも。今日の夕飯は何だろうね」
「ちょっ……それ、ずるいっすよ。すぐはぐらかす!」
奏人さんの後を追って玄関に入ろうとして、そこにもカボチャがあるのに気づいた。
これも中に蝋燭が灯された皇手製のカボチャは、無表情な作り手に似合わず何だかとぼけた顔をしていて、思わず笑うと中から唯人の声がした。
「匠海君、カボチャのグラタン冷めちゃうよー」
「……って、この中身かよ!」
『秋月組のハロウィンへようこそ』了
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