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ぴっ、ぴっ、ぴっ、ぴっ、・・・・・・
今日は彼女と出かける予定がある。何を着て行こう。なんて考えるのも最近ではあまりない。なんか向こうも緊張したり、日常からちょっと離れた服装してるとかそんな感じはもう無く、普通な感じで最近は会うことが多い。慣れてきたのかなお互い。まあそれでいいかな。私の望みは彼女がずっとそばにいてくれることだから。毎日の当たり前になってくれるのが1番いいと思う。向こうはもう大丈夫だろうか。スマートフォンを出して聞いてみるか。
「そっちはどう?」
既読がつかない。なんか手間取ってるのかな。まあどれだけ遅れてもいいや。先に行って喫茶店でも入っていよう。彼女には悪いが、私は一足先に家の扉を開けるのだった。
ぴっ、ぴっ、ぴっ、ぴっ・・・・
「あ、お母様。本日もいらしていたのですね」
「ああ、看護師の・・・桐迫さん・・でしたよね」
「・・・私の苗字は読みにくいってよく言われるのですが、覚えてしまうぐらいになってしまいましたか・・・」
「そうですね・・・・」
「息子さんはどうですか」
「相変わらずです。ただ寝てるだけに見えるのに、このままずっと起きないかもしれないなんて・・・」
「・・・恋人さんに振られた衝動で自ら・・・
ということでしたね。この世は残酷ですね。恋の1つくらいは叶ってくれてもいいと思うのに」
「そうですね。今でもそれがなければって、どうしても考えてしまいます」
「いつか目覚めてくださるといいのですが」
「ええ。ですが目覚めても待ってるのは息子の大事な人がいない世界なのだと考えると・・・なんだか心配になってしまいます」
「大丈夫ですよ。良い方なのですから、きっとすぐ良い方に巡り会えますよ」
「そうだと・・・信じたいですね」
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