仇は取った

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 飛んで火にいる夏の虫とでもいうのだろうか。  奴が早速、私の元に来た。  奴は私が顔を知らないとでも思っていたようだが、私は知っている。  貴様の顔、忘れるわけがない。  偽名を使うことは想定内。バレバレなのだよ。  麻酔を打って眠らせた後、奴のリュックサックを覗いてみた。中に入っていたものは札束やアクセサリー類。アクセサリーの中に見覚えのあるものがあった。  それは一つの指輪。娘が薬指につけていたものだ。  これで奴が指名手配犯だと確信した。  ここで警察に通報して逮捕してもらうこともできた。  だが、私はそうしなかった。  私の手で復讐(ふくしゅう)がしたかった。
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