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資産家のジジイは市長ですら頭が上がらない有力者。かつて市の発展に貢献した奴らしく、多くの住民から一目置かれてたが、嫌う住民も多かった。オレもその一人だ。特に若い奴らから嫌われてた。
なぜ嫌われてたのか。それはやたらと威張ってる上、オレたちに何度もイチャモンを付けてきたからだ。「最近の若いモンは」とか言いやがって。
しかも地域おこしにきた連中に難癖付けて結果的に追い払ってたし。せっかく、オレたちの暮らしが、より良く、より楽しくなるはずだったのに。市の発展に貢献したと言われてる奴が、これかよ。年は取りたくねえな。
こいつが嫌でオレはそこを出て行った。
だが、金に困るような事態が起きた。会社をクビになった上、パチンコで金をすっちまったのだ。
渋々実家に帰り、親がやってる畑仕事の手伝いでもしようかと思った時に、この資産家のジジイのことを思い出した。
こいつから金を取ってやろうと思いついたのだ。
最初は躊躇してたが、オレも生活に困ってるし、クソジジイは大嫌いで死んで欲しいとすら思ってたしで、結局やっちまった。
ジジイの家に侵入したばかりの時は、借金してヤクザから買った拳銃で、ジジイだけ殺して金目のものを奪うつもりだった。
だが、家の中には奴の家族らしき連中がいた。しかも全員大人。オレを見るなり通報しようとするわ、追い払おうとするわで、結局、全員銃殺してしまった。
皆殺しにした後、家の中で金庫を見つけた。
開け方がわからなかったが、家の中をあさってると、一枚のメモ紙が見つかった。試しにそれに書いてある番号に合わせてみたら開いた。
金庫の中には札束が入ってた。
ついてにメモ紙が見つかる過程で、宝石や貴金属でできたアクセサリー類も見つけた。
――オレはついてる。
この時はそう思ってた。
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