熊になっちまった

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 中に入ると受付のねーちゃんが、オレにおじぎした。こんなオレにまで、営業スマイルでおじぎとは、お仕事ご苦労さんだな。 「あの、すいません」 「はい」 「美容整形を受けたいのですが」  そう受付に伝えると一枚の紙を渡された。  どうやらこれに書いた情報を元に診察券を作るらしい。  ここで本名を書いたら通報されないだろうか。  少しだけ悩んだ末、オレは親父の名前を書いた。  健康保険証の提出も求められるのではないかと思い、ドキドキしたが、そんなことはなかった。  健康保険の適用外になるため、いらないらしい。  その代わり高くつくのだろう。  だが、金ならたっぷりある。  紙を提出した後、受付から予約をいつにするか聞かれた。 「よ、予約……?」 「はい」 「今すぐはできませんか?」 「あの……当院は予約制ですので……あ、少々お待ちください」  そう言うと、受付はその場を離れ、奥の方に向かって行った。「院長先生~」という声が聞こえてくる。  ほどなくして受付が戻ってきた。 「お待たせしました。今から一時間後なら空いています」 「では、それでお願いします」  一時間。少しばかり待つことにはなるが、予約制と聞いた時に何日も、あるいは何週間も待たなければならないと思ってただけに、これはラッキーだぜ。  ――オレはついてる。  そう思った。
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