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人間の少女
彼女は気付いていたらしい。何も疑わず、僕の言葉を信じてくれた。
僕を初めて見つけた時、砂浜の上に倒れていたらしい。そこから頑張って運んだとのこと。あまりの軽さに死んでいるのではと思ったそうだ。
そして、僕は本当か聞いて何者か分かってしまったら、いなくなってしまうのではないかと怖かったらしい。
でも僕は羽根も取られたし、帰れないし、と頑張って伝えると泣いて少し笑っていた。これはどういう感情なのだろう。分からない。泣いているから悲しいのか、笑っているから嬉しい、楽しい気持ちなのか。
最近人間と過ごし、人間の気持ちというものを考えるようになった。人間は気持ち、感情というものが存在するのだ。
彼女に教えてもらった。
僕は歩けるようになってから、彼女が負担にならないようにと料理も洗濯も掃除も手伝った。
しばらくするとお金がなくなりそうになり、彼女と話し合って、街で一緒に住んで働くことにした。
僕は彼女とは違う仕事が決まってしまい、同じ場所では働くことができないが、家に帰れば彼女がいる。
それが僕にとってはたぶん、何にも代えがたい幸せだった。
こんな日々がずっとずっと続くと信じていた。
そんな時、仕事のよくいるおばさんに帰りの支度中にたまたま会い、唐突に話しかけられた。
「いすずちゃんとは兄妹なの?」
「あ、いえ」
なんでそんなこと聞くんだろうと考える前にまた聞かれた。
「そう。結婚式はいつの予定?」
結婚式?結婚式とは何のことだろう。
黙ってしまう僕を見て何かあるのであろうと言うのを察してくれたのか、何も言わなかった。
「まぁ、決まったら行くから教えてね」
とりあえず返事をし、僕は帰っていすずに聞いてみた。
すると、いすずは少し、驚き、僕に向き直った。
「男女がこれからずっと一緒にいるっていう約束事…かな?」
といすずは教えてくれた。
僕がおばさんのことを話すと、僕はいすずに結婚したいか聞かれ、どっちでもいいと答えると、いすずはちょっと泣きそうな顔をした。
でも男女のするもの。僕は男性に入るのだろうか?
その事を気にしているといすずに話すとこのまま隠していれば問題ないと言われ、そのまま結婚式をあげた。
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